君の頭は営業中かね? ー真のミニマリスト ポール・エルデシュー

ミニマリストなんていう生き方が広まっております。
みなさんはミニマムに生きていますか?
ミニマリストって何?っていう方もいるでしょう。
定義も曖昧なところがありますが、本来はこういった意味のようです。
最小限綱領派と訳す。最小限度の要求を掲げる社会主義者の一派をいう。かつてロシア社会革命党内の妥協的な穏健分子がこう呼ばれた。またこの反対にすべてを要求し,決して妥協しようとしない一派がマキシマリスト maximalist (最大限綱領派) と呼ばれた。
なんだか難しいですが、日本では必要最小限のモノで生きる生き方のことを指しているようです。日本におけるミニマリストは、政治的な信条から生まれた物ではなさそうですし、そういう主張も聞こえてきません。むしろ個人主義的な考え方が強くでているように感じますが、それはそれとして。

で、私が「こういう人がミニマリストなんだなあ」と思う人が数学者のポール・エルデシュなんです。
彼は主に素数の研究者として活躍し、数学界史上最高の功績を残した数学者とも言われています。ここではポール・エルデシュミニマリストっぷりをご紹介します。
ちなみに、かのアインシュタインは、エルデシュ番号2を持っています。


妻も子供も持たず、職務も趣味も、家さえ持たなかった。粗末なスーツケース一つとビニール袋一つで暮らしをまかなっていた

これは数学に最大限の時間を費やすためです。エルデシュは、数学以外に大切なモノというのを持とうとしませんでした。彼は3歳で数学に出会ってから、その全てを数学に捧げたのです。そこまで熱中できるものがあるから、他のモノは必要としなかったのです。ノートと替えの下着を少しだけ持って、エルデシュは世界を放浪します。国をまたいで数学者の家を訪ねては数学に没頭して家主の家人を困らせる事もしばしばあったようです。エルデシュは数学以外に何もしなかったからです。しかしエルデシュの来訪を拒む人はいませんでした。エルデシュは愛されていたのですね。エルデシュの放浪の多くは、彼の望むものではないものでした。命すら危ういような状況から逃げなければならなかったこともあります。

「フランスのある社会学者が、私有財産を持つのは盗みに等しいと述べておる。わしに言わせりゃ、私有財産はわずらわしいだけさ」

奨学金や講演で手に入れたお金は、みな親戚や仲間、学生、そして赤の他人にあげる

エルデシュは乞食に会った時、財布を取り出しわずかな生活費を抜き取り、残りが入った財布を乞食み渡したそうです。また、賞金がかかっている数学の問題に頭を捻らせている学生を見かけたとき、代わりに問題を解き、その賞金をそのまま学生み渡したりもしています。さまざまな善意の団体への寄付もしてしました。彼が亡くなってから1年後も、寄付をしたさまざま団体からの手紙が届いているようです。エルデシュは将来有望な学生に1000ドルを貸したことがありました。後日学生は1000ドルを返したいと連絡したい、という連絡を「その1000ドルでわしがしたようにせよ」といったそうです。金銭に頓着がなく、自分はやりたいことをやり、その利益は全てを周りに還元する。ゆえにエルデシュはみなから愛されたのですね。

母親を大切にした

エルデシュは唯一の肉親である母親をとても大切にし、できるだけ時間を共にするようにしました。母親の死はエルデシュにとって何よりの喪失でした。彼にとって家族というのは、数学と同じ、それ以上に大切なものだったのです。
エルデシュと共同研究をしたウラムという学者は、エルデシュのことをこう自伝に書いています。
「27歳でホームシックにかかり、不幸で、そしてハンガリーにいる母親のことをいつも気づかっていた」

日本ではあまり知られていませんが、ポール・エルデシュは、数学史上最高と言われるほどの功績を残した数学者です。その生き方は、正真正銘のミニマリストです。
これをきっかけに、エルデシュの生き方に触れてみてはどうでしょうか。
数学の知識が全くない私でも、その破天荒な人生は十分に楽しめるものでした。

放浪の天才数学者エルデシュ

放浪の天才数学者エルデシュ