ファッション雀鬼

帰ってから今まで、ずっと寝込んでいた。
よく考えたら遊んでしかいなかったので多分遊びすぎたんだろう。あと多分漫画喫茶が悪い。良からぬ菌をもらったに違いない。それにしてもあんなにも居心地が悪いとは思わなかった。さすがにあそこで連日夜を過ごすのは厳しい。そもそも寝るための施設じゃないからしょうがないんだけど。ネットカフェ難民とか以前よく耳にしたが、あれはきついよ。今も大勢いるんだろうけど。
まあ麻雀でけっこうな時間を潰したわけだけど、思い出したくもないクソ店のことは置いといて、他の店は普通に普通の店だったので楽しく麻雀を打てた。で、雀鬼流に思いっきりインスパイアされただろう人を久しぶりに見た。雀鬼流とは、麻雀を打つ人では知らない人はいないくらい有名な桜井章一による流派だ。特徴は、例えば第一打に字牌を切らないとかドラはテンパイまで切らないとかツモから打牌までは1秒以内に済ませるとか、麻雀の打ち方に色々と厳しい縛りを課す、密教の苛烈な修行のような険しい環境の中で麻雀を通して己と向き合うことで人間としての、いや漢の生き様を体得しようというとてつもない流派なのだ。それはもはや人生の求道者であるといっても過言ではない。
で、その人が本物の雀鬼流かどうかはさておき、というかファッション雀鬼だと思った。なぜなら私が今までに見た雀鬼流とおぼしき人には決まってある特徴があって、その人たちは背筋をピンとまっすぐに伸ばして、椅子に浅く、やや斜めに腰掛けるのだ。とにかく姿勢が綺麗なのである。それもまた雀鬼流の教えではあるのだが、その姿が桜井章一というよりはVシネマ桜井章一を演じる清水健太郎にそっくりなのである。その立ち居振る舞いは雀鬼ではなくジャンキーのそれに酷似していて、そのギャップが私の中で密かなツボなのだ。もう面白くって仕方がない。もし雀荘に行く機会があったら、やたら背筋がピンと伸びて椅子に浅くななめに腰掛ける人を探してみるといい。ちょっとだけ楽しい気分になれると思う。日焼けしていたらなお良しだ。