ピエール瀧に対する謎の好印象について

ピエール瀧がすっごい好感度高いのはなんでだろう。電気グルーヴを見るたびにふんわりとそんなことを思っていた。個人的な話をすると、最初にN.Oが出た時は中学生くらいで、赤坂泰彦とかのラジオで聴いて知って、なぜか家にシングルがあってって感じで、初めて買ったCDがaccessってくらいにはピコピコ音が好きだったけど、それに比べるとアングラな匂いはしてた。ブランキージェットシティがミュージックステーションに出てるのを録画して観てたら赤いタンバリンの後に電気がカメライフ演ってたのがすごい記憶に残ってて、楽器も弾いてないし歌ってもないよくわかんない人が楽しそうにしてて良いなあと思ってた。それがピエール瀧だった。そこまではなんか怪しい感じのテクノさんだったけど、高校になって評価が急上昇した。

夏休みに臨海学校のプールの監視員のバイトを友達のツテで3人でやったんだけど、もうぜんぜん人が来なくて、プールも好きじゃないし、塩水引いてるからベトベトするし、カンカン照りだし冷房ないし、暇潰しに狭い受付兼事務室の扉という扉を開けていたらスチール机の引き出しに入っていたのが電気グルーヴの本だった。どういうわけかわかんないけど、この本以外にはペンが数本入ってたくらいで何もなかったんだよね。他の引き出しにもなにもなかった。

俺のカラダの筋肉はどれをとっても機械だぜ (宝島コレクション)

俺のカラダの筋肉はどれをとっても機械だぜ (宝島コレクション)

 

これが高校生が夏休みのくっそ暇な時間を潰すのにもってこいのちょうどいいくだらなさで、この本がきっかけで電気グルーヴへの好感度がMAXになった。とはいえ、この頃のお洒落に敏感な人たち(特に女子)はみんな電気電気言っててもうそれだけで腹が脹れるほどだったから、自分から音源を漁ることはなかったけど、リサイクルショップで売ってた100円のライブのビデオテープを一本買って毎日観た。テレビや雑誌に出ることを知ると必ずチェックしたし、最終的にはレイブやワイヤーに行ったりもした。だから俺にとっての電気グルーヴは、知っているけどよく知らない、よく知らないけど知っているみたいな感じでなんかよくわかんないけど自信を持って好きと言えるよくわかんないバンドだった。

瀧が捕まった速報が出た時もちょうどメロン牧場をたまたまペラペラ読んでいたところだったからすごい驚いた。

電気グルーヴのメロン牧場-花嫁は死神

電気グルーヴのメロン牧場-花嫁は死神

 

芸能人がドラッグや事件で御用になったニュースなんてそれこそ毎日のように流れていていつも、なんとなく見てるだけだけど、今回だけはすごく心が揺れた。芸能ニュースでこんなにうろたえたのは初めてだ。速報が出たのは夜の12時くらいでもう寝るかと思ってたけど一気に目が覚めてネットで「ピエール 逮捕」とかで検索した。野次馬根性がこんなにも刺激されることがあるのかと恥ずかしく思った。

 

例によって何言ってるかわかんなくなってきたから話を戻す。こんなことになって否応無く色々考えて思ったのは、「落語は業の肯定だ」ってかの立川談志が言ったけれど、ピエール瀧に対する謎の好印象の正体ってここにあるんじゃないかなってことで。電気グルーヴって俺にとって欲望そのものというか「気のいい仲間と好きなことやって好きなように生きていく」を体現している稀有な大人の象徴なんだよな。ピエール瀧なんかそれこそ煮詰めた業を岩石にぶっかけて錬成したゴーレムみたいな趣あるじゃないですか。電気グルーヴを初めて見た時からずっと感じてたのは楽しそうに生きてるなってことで、気取らず驕らず好きにふざけてたらマイナーからメジャーになってメインストリームで活躍するようになってちょこちょこ楽しい副業やって、それでも等身大で楽しく生きてる、理想の年の取り方だと思ったし、理想のおっさんの姿だったんだよな。こうした事態になったことも「まあね〜」というか、うまく言えないけど「まあね〜」っていうね。不謹慎かもしれんけど、自由に生きるってことの良いところも悪いところも全部ひっくるめて体現して見せてくれるような、そういう星の下の人だと思うからずっと憧れてたんだろうし、これからも応援したくなるんだなあと。まあこれで一旦いろいろリセットして、何年か後に復帰した際にはピエール瀧改めチャーリー瀧としてまたふざけたことやってくれればいいなあと。やっぱりふざけて生きるのが一番だと思う。こうした生き方がすぐに糾弾される息苦しい世の中だからこそね。しかしドラッグを止めるのは簡単ではないし、こっからいろいろと精神的に相当つらいことになると思うけど大丈夫かなあ。