ビリヤード

小雨の降る街を歩いていたら、電線から大きめの雫が頭に落ちてきた。と思ったら鳥のフンだった。絶対に狙って落としてきてるよなあいつら。通行人俺しかいなかったもん。しかし幸いキャップを被っていて、すぐ近くにあった最近できたっぽいコンビニのトイレで即洗いしたのでセーフ。と、この辺に高校生の頃によく行ってたビリヤード場があったことを思い出したが、もう潰れていた。昔だからなのか田舎だからなのかわからないが、五百円くらい出せばフリータイムで半日くらいやり放題だったから一人でよく行ってたし、メロコアブームと同時期くらいには全国的に流行ったような気もする。まあバブルの頃に流行ってたみたいだし、メロコア流行ってたのはバブル末期でくらいだし。プールバーとか言ってね。ゲーセンにも置いてあるところがあった。プロになりたいとかそういうことは思っていなかったけど、かなりやった。家に置けないくらい大きな装置でゲームをするということ自体にプライスレスな楽しみを感じていた。上京すると、地元で不良やってたような奴はだいたいビリヤードやってて、みんな「俺ビリヤード上手いよ」的な感じだった。じゃあ、ということで学校の近くにあるゲーセンで勝負したら、俺が打ったブレイクが的球に当たって跳ねて、ものすごい勢いで対面の椅子に座っていたまだ親しくなってない学友の額を直撃した。うずくまり体を震わせている学友に駆け寄ると、額を押さえている手の間から鮮血がポタポタと滴っていた。おしぼりを大量に持ってきてフロアを拭く。あまりにも信じられなすぎるハプニングにこっちも血の気が引いてきて、ちょっとどうなってるか見せてみろと震えている手を無理矢理外すと、ボールがそのまま半分埋まったかのような綺麗な半球の大きなたんこぶが額にできていて、思わず笑いそうになってしまった。体の震えは痛み半分怒り半分だったんだろうと思い、ブチ切れられるのを覚悟したが、そういうことにはならなかった。俺が言うのもなんだが、よく我慢できたなと思う。彼にはその後でもっとひどいことをしてしまったのだが、それはさすがに書けない。