山中の敗戦に見るボクシング界の限界

「神の左」を持つ山中慎介とネリとのリベンジマッチはとても残念な結果に終わり、不本意というにはあまりにもやるせない引退試合となりました。


色々な意味で最悪の世界戦でした。


王者として具志堅以来の日本防衛記録を賭けて臨んだ前回の戦いでは、ネリはドーピングを行なっていました。そして今回は前日計量で体重をオーバーしてしまい、王座を剥奪されての試合となりました。ネリの体重超過は2.3キロ。これは2階級上の体重です。


試合前から非難轟々でしたが、大人の事情で試合は予定通り行われました。しかし山中はあっさりと、完膚なきまでに打ちのめされてしまいました。


実況も解説もメディアもボクシング関係者も、誰もがネリの体重超過を山中の敗戦の理由としています。両者とも当日計量では規定体重になっていたわけですが、それでも両者には大きな差があるのだそうです。


そして試合は圧倒的な負け。スリップダウンと判断された最初のダウンは明らかにカウンターを喰らってのダウンで、それが効いてしまっていました。ジャブの差し合いも完全に負けていました。


正直な感想としては、前日計量での2.3キロという体重差はそんなにヤバイのか?と思いました。今回も前回も全面的にネリ側に非があるのだが、この一方的な敗戦の理由が前日計量での2.3キロの体重超過にあるとは思えませんでした。そう思うに十分な完敗でした。


階級やルール違反とかルールそのものに問題があるだろとかボクシング界のそもそもの問題は一切置いといて、一応当日は両者リミット圏内の体重だったわけだし、もうちょいマシな勝負になってもよかったんじゃないかと思います。「体重超過とか関係ねーよ。それでも山中はやってくれるはずだ」と思っていたから、余計に残念でした。


昨日そんな風にモヤモヤしていたら、ヘビー級のワイルダーさんの試合がありました。
ヘビー級には体重の上限はありません。


が、

 

王者ワイルダー、12キロ差も「関係ない」自信満々 - ボクシング : 日刊スポーツ


ワイルダーは39戦全勝(38KO)で、3日の試合では7連続KOでのV7がかかる。体を絞って12キロ差にも身長とリーチでは上回り、「体重差は関係ない。彼は強いが、高いレベルの選手と対戦がない。私がベストを証明する」と自信満々。


前日計量で12キロですよ。さすがに12キロはヤバいんじゃないかと思うじゃないですか。案の定、途中超ヤバい場面があって、判定じゃ負けるって状況での劇的逆転KOですよ。こんな試合見ちゃうと体重差ってなんだろうって思いますよ。もちろんこっちはルール違反ではありません。


それにしたって、かたや2.3キロで卑怯だなんだ言われて、かたや12キロ差で関係ない発言です。同じ競技とは思えません。山中にもこれぐらい言って欲しかったし、そんな内容を見せて欲しかった。


とはいえ、何度も言うようにやはりネリに非があるわけですが、本当にネリだけが非難されなければならないのでしょうか。


ネリだってバカじゃないし、アホでもありません。毎日寝屁こきながらポテチつまんでたら、ドーピングしても体重超過しても世界は獲れないんです。トレーナーがいるし、マネージャーがいるんです。彼らと色々考えた上で、ベストの選択をしているんです。その結果がドーピングであり、体重超過だったわけですよ。


卑怯と言われようが、結果処罰されようが、それが1つの最適解として選択肢に上がってくるくらいには、同じようなことが世界中で起こっているわけで、それが成果をあげているわけです。つまりボクシング界は完全に腐っているわけですよ。ドーピングで処罰されず、体重超過でも処罰されず、試合も行われてしまうわけです。これはボクシング団体の怠慢以外の何物でもなく、日本のボクシング界も興行主も同様に責任があります。

 

体重超過 - Wikipedia


これを見ると、体重超過がどれだけ多いかがわかります。日本人が体重超過して試合がなくなったこともありますし、比嘉大吾の世界挑戦もチャンピオンが体重超過してベルト剥奪されています(こっちは比嘉が勝って王者になりました)。


も関わらずなんの対策もされていません。ルール違反があっても、試合をするしないは興行主の一方的な都合で決まっています。やりようなんかいくらでもあるのに、あえて何もしないでここまできたのです。


確かにネリは悪いですが、予見できるルール違反を阻止できなかった、阻止する気が全く感じられないボクシング界(日本を含め)と興行主が誰よりも何よりも勝負を台無しにしているんですね。


とにかく、今後二度とこのようなことが起きないようにしてほしいもんです。