思い出in生協

死ぬほど久しぶりに生協に行った。

食パンと牛乳とロングピースを買って、痩せこけたおばさんとしわくちゃのおばあちゃんらに混じってサッカー台で袋に入れようとしたら、目の前のガラスの壁一面にいろんな学校の文化祭のポスターが貼ってあるのが目に入った。ああもうそんな季節か、と思い、高校生の記憶が懐かしさとともに怒涛のようにこみ上げて来たのだが、ヤンキー的ではなく賭け事ばかりしているタイプの不良だった私は、学校の行事には積極的に関わりを持たないようにしていたので、文化祭の思い出はまったくと言っていいほどなかった。

文化祭のポスターの隣には、スポーツ少年団の団員募集ポスターがいくつか貼ってあり、その中にママさんバレーの募集ポスターも貼っていた。

私の住んでいる地域では結構有名な殺人事件がある。

妻が不倫相手と共謀して夫を殺したのだ。殺害には睡眠薬で眠らせた夫を車に乗せて海沿いの丘まで行き、車ごと焼き殺すという中々クレイジーな方法を選んだのだが、捜査の過程で夫は二回燃やされていたことが明らかになった。一回めの着火時に車の窓を全て閉めたまま焼き殺そうとしたため、密閉状態で酸素が足りず、完全に燃え切っていなかったのだ。このあたりはいかにも素人らしい。燃え死ぬまでずっと現場にいたとは考えにくいから、また後で犯行現場を確認に行ったのだろう。それともガソリンをガンガンにかけて燃やし、その様子を見守っている時にブスブスと消えてしまったのだろうか。夫が死なずに気を取り戻して暴れだしたのかもしれない。

それにしてもどうして焼死なのだろうか。ナイフでぶっさせばそこでおしまいなはずなのに。遺体確認もできないほど完全に燃やし尽くして捜査を遅れさせようとしたのだろうか。自分で殺した人間の顔を見ることに申し訳なさを感じたのだろうか。それくらい憎かったのだろうか。なんにしても車ごと燃やしたのであれば、車にも細心の注意を払わなければならない。ナンバープレートやら車体番号やらを削り取るとか、盗難車を使うとか、そういった工作一緒にやらなければ一回燃やすのも二回燃やすのもたいした変わりはない。しかしそこまで手の込んだ工作を思いつくほど頭が切れたとも思えないし、盗難車やイリーガルな技術者を手配できるコネがあったとも思えない。だからソッコーで捕まったのだし。これじゃ夫は燃やされ損というかなんというか。殺す方は計画的に動いたつもりなのだろうけど、いざ実行してみると一から十まで行き当たりばったりだったんだろうなあというのがうかがえる。

この犯人の人妻と男が出会ったのがママさんバレーだったのだ。

なによりクレイジーなのは、この人妻は当時、葬儀屋でパートをしていたのだ。未亡人のふりをして夫の葬儀を自分の働いている葬儀屋でやったのである。女は獄中で自殺を図った。