30を間近に将棋の面白さを知ってしまってから、ある時期は文字通り24時間モニタの前に張り付いて将棋を指していた頃もあったが、世の中の藤井フィーバーと加藤フィーバー波に逆らうかのようにまったく指さなくなった。手垢のついた定跡書や詰め将棋の本は、日に焼けて埃を被ったまま本棚の最上段に並んだままだ。加藤一二三の前代未聞ずくしの棋士人生はとても面白いしもっと世の中に知られるべきと思う。しかし彼のとてつもない傲慢さや、その傲慢さと棋士人生における数多の挫折が偶然にも作り上げた狂人的でかつ喜劇的なナンバーワンでワーストワンでオンリーワンのキャラクターを馬鹿にするかのように取り上げるメディアの姿勢と、それを柵の外から珍獣を面白がって見ているかのような視聴者と、それに含み笑いをしながら便乗する将棋連盟と、それらをすべてひっくるめた構図には反吐がでる。それだけではなく、将棋連盟にとってとても不名誉な出来事もあった。それは重要な課題でもあったのだが、将棋連盟はその課題を藤井フィーバーと加藤フィーバーの波に流した。

私が将棋からフェードアウトしてしまったのは、将棋そのものの面白さや魅力が損なわれたからではない。そこにいる人たちの背中と、その周りで騒ぐ人たちが気に入らないから将棋への熱も離れてしまったのだ。

で、ブログを書くことも減ったわけで。というのも、はてなブログにも同じようなことを思うわけで。とくにはてなブックマークは本当に見なくなった。例えば増田と言われる匿名ダイアリーがいたるところで目につくようになった。増田間での対話のようなものや寒いネタのようなものをホットエントリで見ることがべらぼうに増えた。 なにか意図的なものをとても強く感じる。明らかに増田と思われる釣り記事がテレビのニュースに取り上げられることもいきなりめっちゃ増えた。うまく言えないけど、私が嫌いな関わりたくない臭いが急激に強くなったのだ。それははてなの上場の時期と重なる。

近代における大発明の一つに鉄道がある。鉄道は物と人の流通を劇的に増大させたわけだが、一方でそれは詐欺被害の爆発的な増加にも寄与した。鉄道が無い時代、つまり人の移動が容易ではない時代は、詐欺師はあまり活躍できなかった。人やものが集まる場所(プラットホーム)には自然と詐欺師が寄ってくるのである。本来プラットホームを運営する人たちは詐欺被害を防ぐ立場にあるわけだが、プラットホームそのものが詐欺被害を前提として作られたり、プラットホームが詐欺を先導したりするようになってしまったような感じ。詐欺師が運営する詐欺師の集まる喫茶店でコーヒーをすすっているような、そんな疎外感を覚える。