やっぱりラップは苦手です

フリースタイルダンジョンがちょっと話題になったころに一通り見ていたんだけど、やっぱりあんまり見なくなった。関連するバトルの動画を漁ったりもしたんだけど、やっぱりあんまり見なくなった。なんだろう、だるくておどけた鎮座とかオラオラ煽るサイモンジャップとか得体の知れない呂布とかは面白いなあと思うんだけど、そのほかの諸々の人たちを聴いてると三分の一の純情な感情を聴いた時の気恥ずかしさに似た感覚を覚えて耳を塞ぎたくなる。あとあれはアドリブだから面白いわけで、だから駄洒落多めでもまあしょうがないかなと思えるんだけど、いやおまえそれネタ帳に書いてるやろと言いたくなるような、誰とやってもどのターンでもそれ言うんだろ?っていう駄洒落系自分語りとかdisりとかをやられると萎える。将棋をしたことがあると、序盤中盤は定跡とか経験でなんとかなるけど、終盤になると秒読みで詰むや詰まざるやを読まなければいけなくなって、フリースタイルバトルっていのは秒読み将棋的な難しさに面白さがあると思っているから、あらかじめ用意した場の流れと関係のない単語を並べて駄洒落を完成させる行為にはとてつもない手抜きを感じる。まあああいうのは盛り上げたもん勝ちだからそういうのは極論どうでもいいことなんだけど。そんなことを考えながらキミドリを聴いている。オワラナイって曲で

ワタシハTokyoスキ ハイとロウの中へようこそ あいつとこの中さあ入ろう トゥトゥトゥルルトゥットゥルットゥ

ってリリックがすごい好きで、ハイとロウと入ろうを掛けてるのは言わずもがなとして、ハイとロウっていうのが上流と下流、勝者と敗者、有能と低脳、一か八か、っていうのを意味していて、さらに薬物によるハイと法律のロウも掛かってるわけで、そういうTokyoがワタシハスキデスよ、とカタコトで言っててとてもいい味が出てる。んでトゥットゥのところはドラえもんのタイムマシンに乗っているような感じが出ててああハイなんだなっていうのがわかる。私はこの曲を聴いて上京して、結局この中でハイはひとつしか引けなかったから、今になって聴くと一段と込み上げてくるものがある。東京は何かになりたい人と何者にもなれなかった人で構成されている都市なんだなあっていうどうしようもない虚しみが身体に刻まれてしまっているから、なんていうか野心剥き出しで俺が俺がつって夢叶えるんだ俺は成功するんだみたいなことを駄洒落仕立てでがなり立ててキメ顔でしてるのを見るとどうしても真顔になってしまう。彼らが映るブラウザの奥から、昔の何者かになりたかった自分と何者にもなれなかった自分がこちらを見ているような気持ちになる。ってこんなつもりじゃなかったんだけどなあ。