人に本を薦めるとき

マイケルルイスのマネーボールを読み終わる。これで何度めだろう。世紀の空売りもそうだが、題材から構成からユーモアから何から何まで私好みだ。といっても正確には訳者の手柄の部分が大きいのかもしれない。いてもたってもいられなくなり古本屋を巡ることにした。

 

3軒ほど回った結果、彼の著作は「ライアーズ・ポーカー」一冊しか置いておらず、それも文庫で500円という古本屋にしてはかなりの高値だった。もちろんそれは買ったのだけど、ほかにも収穫があった。まず、南條範夫の「秘剣流れ星」。南條範夫と言えばもちろん「シグルイ」だ。漫画にもアニメにもなっていて、私が好きなアニメ及び漫画のベストテンに入っている。この元ネタとも言える「駿河城御前試合」は古本屋巡りの際に必ず探す本の一つなのだが見つかった試しがないどころか、彼の著作自体がほとんどない。よって、素直に射精です。「流れ星」は「シグルイ」作中の天下無双の剣術流派「虎眼流」の奥義「流れ星」となにかしら関連しているはずだ。読むのが楽しみだ。

 

もう1つは「ミレニアム」だ。これは「ドラゴンタトゥーの女」として映画化もされた作品だ。この小説は数年前にある女性に読んでほしい小説としてオススメされたのだが、名前だけはなんとなく聞いたことがあった私は「女性器の両側に蝶を模した刺青を入れた女の話ですよね」と知ったかぶって大恥をかいた。これも書店で見たことはなかったが、この恥ずかしい思い出のおかげで手に取ることができた。なにやらスケールの大きいミステリのようでとても楽しみだ。

 

ところで「人に本を薦める」とはいったいどういうことだろう。その人にとってためになることが書かれているからとか、これは面白いと思ってもらえるはずとか、自慢とか、とにかく人に本を薦めるとき、そこには何かしらの理由がある。ネットでの不特定多数に向けた書評やオススメ記事ではそういった理由は比較的容易に読み取れるものだが、互いに知っている関係の場合には、そういったものとは異質の、文脈を通した個人的なメッセージが込められている場合があるのではないか。というのも実は「ドラゴンタトゥーの女」はもう読み終わったのだが、読み進めている最中、どうしても彼女のことが頭から離れないのである。それは具体的で明確なものではないし、改まって確認するようなことでもないのだけれど。

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