信じるか信じないかはあなた次第です

祖母の葬儀で久方ぶりに親類と会った時の話だ。

 

私の従兄弟にあたる女性はエゲレスの大学で心理学を修了し某大学でカウンセラーとして働いている。そんな彼女への母の眼差しに私は戦慄した。母の眼は憧憬のような畏怖のような異様な輝きを放っていた。その舞い上がりっぷりはまぎれもなくmihimaru GTのそれだった。母にとって心理学を修めた者は、人の気持ちをすべて見通すことができ、活殺自在な力を持っている超能力者のことだった。

 

「外国」の「大学」で「心理学」を修めた「カウンセラー」。そのうち鼻に人工軟骨をぶち込んでラジオDJでも始めちまいそうなほどオシャレな肩書きだ。コロッとイッちまうのも無理はない。私は母を強く諌めたが、私の言葉は、いや私の存在はもはや空気のよどみでしかなかった。

 

ファミレスで過ごす待ち時間、母は身を乗り出し、目をキラキラさせて彼女の仕事内容を根掘り葉掘り聞き出そうとした。仕事内容はとても地味なものだった。進路相談、恋愛相談、不登校相談、中には暇だからという理由で入り浸る学生もいると言う。

 

蓋を開けてみればなんてことない現実だった。しかし、本人が自ら超能力者であることを否定しているのに、それでも母の洗脳が解けることはなかった。母が何を信じているのかはわからない。ただその顔はいつもより晴れやかで楽しそうであった。

 

信じることは快感なのだ。だから危険だ。おそらくどのドラッグよりも気持ち良いだろう。ドラッグにハマるのはそこまで強く信じるものが無いからなのかもしれない。あるいは、かつて何かを強く信じていたからなのかもしれない。

 

余談だが、以前はてなブログで「起業する」と高らかに宣言し大学を辞めた人がいて、ブログで熱量高く綴られる浅薄な考えにはてな界隈が大いに盛り上がった。そのブログの更新がだいぶ前から滞っていることは知っていたが、今日訪れてみると、すでに閉鎖されていた。ツイッターアカウントはまだ生きているが非公開となっている。