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子猫がやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!

20年くらい飼っていた猫が去年亡くなってからというもの、いないはずの猫を踏まないように廊下を歩いたり、いつもいるはずの場所につい目をやってしまったり、家のいたるところで猫の幻影を見るようになった。そんな幻影もようやくなりを潜めるようになってきた今日この頃、母が知り合いから手のひらサイズの黒猫をもらってきた。

なんでも彼女は、知らない間に家に入ってきて、部屋にぽつんと座っていたらしい。まあ田舎ではよくある光景、、、だったのはもう昔の話で、今や野良猫や野良犬を見かけることはほとんどない。とか言いながらまさに今、となりの廃屋に住み着いた猫と新入りの猫が猛烈に威嚇し合っている。この昔からの廃屋にはいつだって猫が住み着いているのだが、警戒心だけが年々増していき、今や姿を拝見することもかなわない。発情期や縄張り争いのときのやかましい鳴声が夜に聞こえてくるだけだ。

ていうかいきなりの展開だったので、なんの用意もしていない。以前使っていたものは全て捨ててしまっていたので、最低限の道具をスーパーで買ってきた。

そんなこんなでいろいろ落ち着いたのだが、この猫がとても人懐こい。常に後ろについてきて、すぐにふとももやひざに乗ってくる。そしてそのまま香箱座りでじっとしている。慣れてくるとなぜかうなじの上に乗ってきて香箱座り。それだけ。走り回ることも鳴くこともない。かわいい。こんなに静かで大人しい猫は初めてだ。トイレの場所も教えることもなく覚えた。しかし、この寒い冬を野良で暮らしていた猫だ。万事健康なわけではなかった。あぐらの上に座ったままの彼女は、ほとんど目を閉じている。ちょっと目ん玉を確認してみたら、瞬膜がやや閉じ気味で、両目が若干外を向いている。しばしばくしゃみをし、黄色い鼻水を出す。時折こちらを向いて何かを言おうとするのだが声がない。かすれた音も出ておらず、空気が震えてすらいない。もしかしたら喋れないのかもしれない。と思ったら、今うなじの上で弱々しく鳴いた。病院に連れていかないいとなあ。