読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ロードローラー

いつも見る駐車場がアスファルトの塗り替えをやっていて、そこに小型のロードローラーがあった。ロードローラーに心がときめくようになったのはたぶんジョジョのせいなんだけど、その記憶がほとんどない。時期的に、リアルタイムでジャンプ掲載時のジョジョを見てるはずなんだけど、当時ジョジョがあまり好きではなかったし、今だって第4部以外は言うほど好きじゃない。まあそれはそれ、思えばロードローラーが動いているのを見たことがなかったので、しばらく見学することにした。

前後にぬるぬる動く野生のロードローラーを見ていたら、安室奈美恵の母を思い出した。彼女は車で轢き殺されたのだが、何度も何度もしつこく念入りに轢き殺されたのだと当時のニュースで言っていた。そこまでするには相当な恨みがあったんだろうなあと思うが、いったいなにがあったのかそういえば明らかになっていない。いわゆる女性週刊誌みたいなものでは書いてたのかもしれないが、そういうものを読むのは、病院か銀行の待ち時間でほんっとーにやることがなんにもない時ぐらいなもので、それでも両手両足の指で数えられる回数だ。女性週刊誌には、決まって私が心惹かれる人のコラムが掲載されていることが多いのだが、やはり定期的に読もうとは思わない。ああいうのを読む人、ましてや買って帰る人がどれくらいいるのかは知らないが、けっこういるんだろうなあ。

などと考えていたら、最近突然死したアイドルのことが頭をよぎる。18歳の現役アイドルというだけではなく、訃報だけで死因が発表されなかったこともあって、かなり話題になった。後日伝えられたところによると、死因は致死性不整脈らしい。昔、軽い気持ちというか一時の気の迷いで付き合った女は不整脈持ちだった。彼女は、不整脈がいかに危険な持病かということを私に力説したのだが、不整脈そのものを知らず、実際どうなるのかもわからない私にはそれが理解できなかった。ある日の深夜、彼女に不整脈が起こった。痙攣し、白目を剥き、意識が朦朧としていた。こんなにも人が苦しんでいる、いや苦しいのかどうかもわからない。このままだと死んでしまうかもしれない。眼の前の人がそんな姿になるのを見るのは初めてだった。最寄りの駅近くにある深夜救急をやっている病院に連れていったのだが、病院に行くまでのことがほとんど思い出せない。どうして最寄りの町で夜間救急をやっている病院を知っていたのか。事前に彼女から聞いたのかもしれない。倒れている彼女を見つつネットで検索したのかもしれない。思い出せない。そこへどうやっていったのか。救急車を呼ばなかったことだけはたしかなのだが、どうして呼ばなかったの。わからない。タクシーを呼んだのかもしれない。おぶって連れていったのかおしれない。途中でタクシーを拾ったのかもしれない。とにかく覚えていない。真っ暗で誰もいない待合席にずっと座っていたことだけは覚えている。その間は、なんだか愛情を試されているような気がして、とても長く感じた。命に別状はなく、数日もするといつもの元気が戻ったが、またいつくるとも知れない不整脈のことを考えると怖かった。ロードローラーはとっくに仕事を終えて、トラックの荷台に乗り込もうとしていた。

広告を非表示にする