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新年早々、保険屋への同意書に粛々とサインして、てくてく歩いてポストに放り込む。今日は精密検査をしてもらいに病院へ行かなければならない。深刻な怪我を負ったわけではなく、なにより電車で行くのが面倒なので、車を走らせることにした。道中、後続車に対する恐怖が尋常ではなかった。常にミラーで後続車をチェックしている自分がいた。信号や右折左折で止まったとき、後続車が近づいてくるたびにぶつけられるんじゃないかと気が気でなかった。いつもなら車間を詰めてくるイキッた車がいても「ぶつけてみろよ」くらいにしか思っていなかったのが、いちいち体を強張らせてしまう。このあとめちゃくちゃ消耗した。こんなにも後続車が恐ろしいとは思わなかった。カマを掘られただけでこんなになっちゃうんだから、大きな事故を起こした人の消耗たるやいかほどーなんて思ってたが、事故るやつは何度も事故る。加害者と被害者では心に負う傷の深さが段違いなのだ。特に今回のような、被害者にまったく非が無い場合、自分でどれだけ注意していても相手の不注意のせいで事故に遭ってしまうんだからもうどうしようもない。日常に潜む理不尽が、突然牙を剥いて襲ってきたのだから、周りの車の挙動に一々萎縮してしまうようになってしまうのも仕方がない。昔働いていた会社を思い出した。

 

今回はしっかり予約していたので、それほど待つことなく色々を終えることができた。帰りついでに警察署に診断書を届けに行った。警察署のカウンターで交通課の人を待っている間、壁いっぱいに貼られた指名手配犯のポスターを見ていた。配色に赤や黒が多く使われるようなっていて、文字も大きく、懸賞金がデカデカと表示されていた。今の懸賞金の最高額は2000万のようだ。昔見たポスターと比べて、センセーショナルさが増したデザインになっているが、手配犯の顔ぶれはまったく変わっていなかった。どうでもいいけど、この懸賞金を受け取るために必要な情報の精度はどの程度なのか、これまでこの手の懸賞金はどれくらい支払われたのか、それは適切な審査だったのか、そんなことが気になってしまうくらいには警察を信用していない。視線を横にずらすと、行方不明者のポスターがこれまたたくさん貼られている。行方不明者の大半は、痴呆を患った高齢者と知的障害者だ。以前、電車好きの知的障害を持つ人が行方不明になったことがあったのだが、その人は周りの心配をよそに、延々電車を乗り継いでひとり放浪していた。

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