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懐かしの名ドラマ 【チーム・バチスタ シリーズ】

テレビ番組 オススメ

元医師の海堂尊のデビュー作にして出世作、そして続編が次々と書かれ、押しも押されもせぬ代表作となった同名小説のドラマ化。ドラマも小説と同じく大ヒットし、4作の小説がドラマ化され、映画化もされた。

 

このドラマは、ジャンル的には医療ミステリのバディものということになる。ざっくり説明すると、ひょんなことからコンビを組むことになった、チビノリダーこと伊藤敦史が演じる心療内科医師の田口と、仲村トオルが演じる厚生労働省に勤める非常に長い肩書きの男、白鳥が、田口が勤める東城医大を舞台に、複雑に絡まった医療犯罪の謎とその背景にある闇に迫る、そんなドラマだ。

 

いきなりだが、正直言ってミステリ的にはちょっとどうかと思うところも多々ある。医療という極めて専門的な分野のことは視聴者にはまずわからないのだが、あえてそれを踏まえた上で、専門知識と専門用語でトリック誤魔化して、謎に挑もうとする視聴者を煙に巻こうとしている節が随所に見られるからだ。シーズン2の半ばほどまで、この点がいちいち気になっていたのだが、見続けているうちに、このドラマが魅力的なのは、ミステリとして特に優れているからではないのだと気がついた。といっても、私のような偏屈者でなければ、ミステリとしても十分に楽しめるだろう。たいていのミステリドラマは、そのトリックの拙さをメタなギャグや過剰な演出や演技、会話や背景に時事的なトピックを折り込むことで補い、誰が見ても楽しめる大衆的なドラマに仕上げている。しかしチーム・バチスタはそのようなエンタメ要素を一切加えていない。かといって、お決まりの2時間サスペンスのようなベッタベタな展開というわけでもない。

 

田口と白鳥のコンビは水と油、陰と陽、とにかくまったく逆の性格、考え方を持っている。頭が良くて皮肉屋で、どんな手を使ってでも犯罪を暴こうとする白鳥が事件に隠された謎に迫り、心療内科医の田口は、その穏やかで優しい人柄でもって、いろいろな形で犯罪に関わる人たちの心の闇を照らす。大きな謎を解くための小さな謎が一話づつ明らかになり、また新たな謎が見つかる。それらの謎がパズルのピースのようにハマっていき、最後には大きな謎が明らかになる。性格も立場も考え方も違う両極端なコンビが別々の道筋を辿りながら時に交わり事件の真相に近づいていく過程のテンポが素晴らしく良い。論理的な推理の積み重ねで犯人が明らかになり、トリックの説明はキチンとなされ、伏線はきっちり回収される。一話一話が冗長になることなく作られており、蛇足的なエンタメ成分を一切排除しているから物語に没頭できる。さらに、続編が進むにつれて、前作の主要人物がゲスト的に出演したり、主人公田口が人間として、精神科医としての成長が描かれているのも良い。作品を通して、まるでSFCの名作RPGをプレイしているような心地良さがある。 原作の素晴らしさを丁寧に映像化しただけでなく、映像化ならではの魅力がプラスアルファされたドラマだった。

 

 

ちなみに、第1作は、主人公の田口は女性に変更されて作られていたりもする。白鳥役は阿部寛。こちらの配役も面白そう。

 

チーム・バチスタの栄光 [DVD]

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