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ツバメ

どうでもいい話

ツバメの巣ってのは縁起物だそうで、家の壁に作られたツバメの巣は壊さないほうがいいってどこかのなにかで読んだのだが、さすがに玄関上の庇のど真ん中にツバメの巣を作られるのはあまりにもバツが悪い。玄関先が糞まみれになってしまっては縁起もクソもないから、そうなってしまう前に建設中の巣をぶっ壊さなければならない。折り合いの悪い場所に目をつけられてしまったのだから仕方がないとはいえ、せっかくの縁起物を一考の余地もなくぶち壊さなければならないんだから、もう縁起とかいう以前の問題なのかなと自虐的にもなりたくなる。ところでツバメの巣は、ツバメのツバでもってその辺の枝やら草やらようやく水が張られた田んぼの泥やらを壁にはっつけて作るのだそうだが、この粘着力は馬鹿にできないくらい強烈なもので、壁の材質の問題もあるのだろうが、どれだけこそげ取っても壁に泥の後が残ってしまう。建設中にボトボト落としたのであろうが、庇の下の赤いレンガ敷きにもべっとりと泥の後が残っていて、それも簡単にはとれない。汗だくになってこそげ取っている最中に、俺の周りを枝を咥えたツバメが「やめてくれ」と言わんばかりにビュンビュン飛び回るもんだから、しまいにはかわいそうになり、ほんとうはめんどくさくなったからなのだが、まあこの辺でいいやと家に戻る。で、次の日になると、またツバメが巣を作り出していて、それをぶち壊す。そんな日々が続いていたのだが、何が腹が立つって前の日にぶち壊したところから少しだけ横にずらして巣を作ることだ。服についたソースを指で拭うとかえって汚れがひろがるように、巣を壊すたびに汚れがひろがる。そんなことをやっているうちに梅雨も終わり、ツバメもどこかへいってしまって、庇に泥の後が少々残っているだけになった。思えばあんなに近くでツバメを見たことはこれまでになかった。ツバメの腹の白さを思い出しながら、汚れた庇を見上げる。そのうちきれいになるだろう。

 

 

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