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家系が途絶えるとき

 

 「これで、わたしのとこの家系は途絶えちゃったのね」

祖母の通夜の用意に向かう車中で母がぽつりと漏らした一言は、わたしを大きく揺さぶった。

母は控えめで、楽観的で、自分の利益を主張するような人ではない。だからこのような増田を読んでも、特に共感はしないだろうし、夫婦別姓についても一家言を持っていることはないだろう。それは時代のせいだったとは思わない。祖母の子は三人娘で、みんな嫁いだ。末っ子の母が嫁ぐ時、このようなことを考えなかったとは思えない。いや、思いたくない。いずれ家系が途絶えてしまうかもしれないことについて、なにかを思ったことだろう。その思いは、年をとるにつれて実感を増しただろう。そしてとうとう訪れてしまったのが、この事態だ。そんな話は、誰にするものでもないと思っていたのだろうか。それとも、わたしが知らないだけで、姉や親類と会った時に、そんな話をしていたのかもしれない。わたしが母に聞けないように、母もわたしに話さないのかもしれない。

「じゃあ俺が名乗ろうか」「いいわよ、そんなの」

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