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恋愛工学とホムンクルスの目

恋愛工学という学問ができてから、もうどれくらい経つだろう。ざっくり2010年以前にはなかったと思うのだが、詳しくは調べない。

こういった学問に惹かれてしまう気持ちはよくわかるし、敬遠する気持ちもよくわかる。

誰だって一度は、心理的な駆け引きでの失態演じたことがあるだろう。物心ついたときから、心理的に優位に立ちたいと思っているものだろう。それに、じぶんではわからない、じぶんの行動の隠された意識を剥き出して見てみたい、そんなふうに自分と向き合うときが、誰にもいつかは来るのだと思う。

趣味趣向が細分化、穴熊化してきた昨今、「心理学」全般においても「恋愛」に特化した心理学というのが、ターゲットにとってわかりやすかったのだろう。また、カタカナ言葉で定義づけして学問っぽく(学問なんだけど)演出しているところなんかは、他の業界でもよく見られるありきたりな権威づけなのだが、まあ、いろいろと恐れ入るわけで。

もちろん、わたしにもそういう時期があって、心理学関係の本を買ったり、大学に行ってる友達の専門書を借りて読んだりした。ひと昔前にはブームにもなって、コンビニや書店にそういった関係の本がたくさん並んだ。わたしのそれは、恋愛のためということではなかったけど、心理的な駆け引きというのは人間関係において欠かせないものだから、もちろん恋愛にだって使えるわけで。そういった経験を経てきているので、

ああ、またあらわれやがったな!?ってなもんです。

結局その知識は、行動を起こすための勇気となる、という役割が一番大きい。要するに、たいていの人にとっては、裏付けや言い訳が欲しいだけなのだ。そう思って仕入れた知識は、あまり役には立たない。せいぜい酒の肴になる程度だ。



部屋で漫画を漁っていたら、こんな本が出てきたわけで。

ホムンクルスの目 (ビッグコミックススペシャル)

ホムンクルスの目 (ビッグコミックススペシャル)


この絵でピンとくる人は多いだろう。山本英夫である。
彼の漫画は心理の闇をテーマにしたものが多い、っていうかわたしが知っている漫画は、すべてそういう漫画だ。

のぞき屋(読み切り)から始まって、のぞき屋(連載)、殺し屋1ホムンクルス、あとオカマのやつもあったなあ。まあハマったよね。ってことは、ダニエルキイスも読んだし、心理学に興味も持つわけで。


この著者の石井裕之って人は、セラピスト、パーソナルモチベーターなる職業の方で、過去にもコミュニケーション術や恋愛術の本を書いているような人なんですね。で、この本の内容は、今でいう「恋愛工学」となにも変わらないものなんですね。

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例えば、こんな風に心理学的な恋愛テクニックが満載なわけですよ。で、山本英夫の挿絵が、その理論に、泥臭くてエロい雰囲気の相性が良くて、とても満足なわけです。冒頭の「嘉山くんの場合」という書き下ろし漫画では、ブサイクな嘉山くんが、「ホムンクルスの目」に書いてあるテクニックを使って、美女を陥落させるまで描いているんですけど、これが面白いやら怖いやらで。

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おい嘉山!顔に出てるぞ!

恋愛工学の創始者、藤沢数希さんも過去に恋愛工学を用いて女を手篭めにしようとしてすったもんだがあったらしいんですけどね。

まあ、恋愛心理学といっても、この本読めば十分だと思う。だけど、行動するための勇気っていうのは、お金で買えるものじゃない。と、思うんだけど、権威づけされた裏付けや言い訳、群れる安心感ってのを金で買うことでその不安がやわらぐのなら、それもまたアリなんだろうか。どうなんだろ。