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「一歩進んで二歩下がる」の語源

卵が先か鶏が先か

なんて言葉があるように、始まりがわからないことってあるじゃないですか。

 

もうすっかり聞かなくなりましたが「一歩進んで二歩下がる」って言葉の語源がふと気になってしまいまして。モヤモヤするのでネットで散々検索かましてみたんですけど、載っていないんですよね。ネットでなんでもわかるとは思わないけど、こんなに身近でよく使う(使うとは言ってない)言葉の語源がわからないことにすこし驚きました。

 
「三歩進んで二歩下がる」だと、あ、水前寺清子だなって分かるんですけど、この文句だって「一歩進んで二歩下がる」からの連想だと思います。国民的歌謡曲が元になってできた言葉なんだ!と考えるのは自然に思えるけど、もしそうだとしてら、そのままの言葉で広まってるはずだし。
「三歩進んで二歩下がる」も「一歩進んで二歩下がる」も、若干ニュアンスが異なるにしても、どちらも前向きな意味で使われているわけですから、わざわざ改変するのはおかしいよな、と思うわけです。
 
そんなふうにモヤモヤしていたら、ピンときたんです。
 
 
ギター抱えた三人が前に並んでいたり、一人のエレキが無駄に派手だったり、そこはかとないジ・アルフィー感に顔が緩みます。普通にいい曲ですね。
それはさておき、
この曲名の「One step forward」が「一歩進む」って意味なことくらいは、英語がからっきしな私でもわかります。
 
で、サビの部分が「One step forward and two steps back」なんですよね。
 
これってまさに直訳で「一歩進んで二歩下がる」って意味じゃないですか。
これが語源なのでは!と思わずにはいられません。
 
つまり「一歩進んで二歩下がる」は、アメリカのことわざなのではないかと。
 
この曲を演奏してるのはデザートローズバンドっていう1985年結成のバンドで、三百六十五歩のマーチは1968年の歌なんですよね。
 
1968年がどんな時代だったかというと、戦後の復興も終わり、GNPが世界二位を記録し、「いざなぎ景気」なんて言われるくらいイケイケな時代だったわけで。アメリカから入ってきたいろんな文化が日本と溶け合いだしたころなわけですよ。そんなころにアメリカから入ってきた言葉なんじゃないかなと思わずにはいられないわけです。
 
戦勝国のアメリカから「一歩進んで二歩下がる」という言葉が伝わったと考えると、味わい深い戦後の一コマだなあと思うわけですけれども、さらにそれを「三歩進んで二歩下がる」と改変し、超前向きで派手な歌謡曲にして広めたカスタマイズ精神に日本という国の柔らかさを感じるわけですが、同時に敗戦国の意地のような密かに燃える魂のようなものも感じて、目頭が熱くなります。
 
こんな感じで
「誰もが知っている日本語の言葉だけど、実は日本で生まれたものではないもの」
とか
「他国から伝わってきたと知られていない日本語の言葉」
というのは、他にもたくさんあるはずですよね。
まあ
「日本語自体がそうじゃないか!」
と言われてしまえば、下唇を噛み締めてうつむくしかないのですが(笑)
 
まるで「ない」ことのように思えるものでも、必ず「はじまり」があるものです。
しかし、その「はじまり」にたどり着けることって実はとても少ないですよね。
これだって違うかもしれないし。
 
世の中そういうことだらけなんですよね。