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無性に80年代のパンクが聴きたくなる

ことがたまにあって、それは日本のパンクロックのほうがなお良しなんだけど、なんでだろうなって思うわけ。80年代っていうとわたしは生まれたてで、当時の流行や世相なんてものはまったく記憶にないし、聞き出したのはそれこそブームなんてとっくの昔に終わっているころだったから、別に過去を美化しているわけでもない。で、そのころはパンクロックがちょっとしたムーブメントになっていたんだけど、それはちょうどビーバップハイスクールのようなツッパリ全盛期でもあったわけで。

別に腐すわけじゃないんだけど、今話題のゲスの極み乙女を聞いてみたんだけど、どうにもガラじゃないん。歌詞がスカしてるっていうか「で?なんなの?」っていう。どうでもいいことをまわりくどくこねくり回してる感があってもう歌いらんわってなる。でも、たぶんあの歌詞がウケてるんだろうなと思うと、なんともいえない。メロディや演奏は良いと思うんだけど、歌詞がついてくるとどうも意味が邪魔してくるんだよな。その点洋楽は、英語がよくわからんってのもあるけど、意味がうるさくないから良い。語感も良いし。

どうでもいいが、sekainoowariのメロディを聞いていると、昔の田舎町にあった小さなショッピングモールの奥の誰もいないゲームコーナーに並んだラムネ菓子つかみどりクレーンゲームからひっそりと流れる電子音楽が連想されて非常にノスタルジックな気分になる。それはそれで悪くないんだが、好きとは違う。わたしがそういう古めかしい印象を持つ音楽が流行にのっていて、それをうっとり聞いている人たちがいるのかと思うと、なんだか可笑しい。もちろんあの幻想的で夢夢しい歌詞も嫌いで、あの世界観を観客と一体にして俯瞰でみると、デカダンスディストピアハーメルンの笛吹き男の逸話のような、ただならぬ奇ッ怪な妖気をまとっているように見えるのだが、そういう音楽なんだと思えばそれも悪くない。

で、最近の歌は内面を歌うのものや仮想の世界観を歌にしているものが多く見受けられるようになったんだけど、その内容が嫌いとまでは言わないけど、聴いてて胸のあたりが痒くなってくる。まあ、そういうのに共感している人たちもいるわけだからそこはジェネレーションギャップなのかもしれないけど、そうではない不穏な何かを感じるん。切実さが伝わってこない。「嘘つけよ」みたいな。「ちょっと黙っててくんないかな」的な。このへんは前に書いた「じぶんの行動や気持ちをいちいち飾り立てて説明したがるやつ」に通じるダサさ。ぜんぜん共感できない。

昔のミュージシャンと比べて作詞能力が格段に劣っているんじゃないかと思うものが多くて、それが小説とラノベのような表面的な違いとも思えなくて、もっと根本の部分の深みが感じられない。まあ売れる歌詞を書いたらこうなった、という可能性もあるので一概には言えないんだけど。さらにこの手の人たちの衣裳の「服に着られてる感」が醸し出す雰囲気の作り物具合がいかがわしいと思うわけ。ビジュアル系ほど振り切れてるわけでもなければ、普段着って感じでもなく、まぎれもない衣裳なんだけど、名前負けならぬ言葉負けならぬ装飾負けしてるかんじ。世界観に容姿とオーラが追いついていないかんじがそうしようもなく滑稽に見えるわけで。たぶん生き方に華がないからなんだと思う。でも演奏だけは上手いから変な違和感がある。

まあ好みの問題なんだけど、そこへいくと80年代のパンクロックっていうのはストレートなわけ。その中でもTHE ZETTがとても好き。リアルで不器用で。で、この時代のパンクロックが歌ってる若者特有の不安とか無常のようなモヤモヤが妙に心に響いてくるんですよ。世紀末覇者のようなカブいた格好してるくせに、不安とか葛藤とか焦りとか歌ってるわけ。ただただ「わからねー!」って叫んでるわけよ。屁理屈ならべたり、わかって欲しい、みたいな女々しい弱音なんて吐かないわけ。そういう正直な心の叫びがたまらなく胸を打つんですよね。

なんやかんや言うても、80年代からたかだか2、30年しか経っていないわけで、いまと比べて生活やら考え方がガラッと変わったわけじゃないから、個人が抱える悩みや葛藤なんかもあまり変わっていないわけで。歌詞にこめられた思いっていうのもたいして変わっていないはずなんですよ。だからジェネレーションギャップを感じるほどの違いっていうのは、少なくとも歌詞においてはあまりないはずで。まあヒット曲として消化されたものは、当時の流行や世相を反映した歌詞であることもあり、時代の流れとともに古臭くなるのは仕方ないんだけど。わからないものをわからないというような潔さを感じる歌詞が最近の曲にはあまりなくて、外見のみならず内面にも飾り気を感じるものが多くて、その飾りつけのセンスがあまり好きじゃないのだが、まあこれも好みの問題だから声を大にすることじゃないんだけど。



20年以上前の曲なのに、歌ってる内容がいまと全然変わらない。むしろ一周まわってカッコいい。

80年代のパンクバンドは、高度経済成長期が落ち着いてからのバブリーな時代に咲き乱れた徒花のようなもので、その打ち上げ花火に似た儚い輝きは今の音楽にはない魅力だと思うわけです。

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