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虹を三度みた

良かった話
ガソリンを入れようと家を出たら、天気雨であった。豪雨というほどではないが、小雨ではない。さらに西日が差し込んできて、とても視界が悪い。

スタンドに着くと、おっさんが携帯を空にかざしている。なにかと思って先を見ると、向こうの団地の頭から、虹が出ていた。写真を撮っていたのだった。雨中に虹を見るのは、はじめてかもしれない。虹の向こうの山は金色に輝いていた。ここらが雨の境目なのかもしれない、と思いながらスタンドを出ると、海の向こうにも虹が見えた。虹といっても出だしで潰れてしまっていて、虹といっていいのかどうかというものだったが、あの色彩は紛れもなく虹だった。同じ時間帯に二つの虹を見るなんて不思議なこともあるものだ、と赤信号に減速していたら、信号の向かいの建物の頭から、虹が伸びようとしていた。一日に三度も虹を見たわけだが、さすがにはじめてだ。なんだかひな祭りのときのお菓子を思い出した。携帯を持っていなかったので、写真に撮ることはできなかったが、たぶん持っていても撮らなかっただろう。というわけで、こうして書いている。


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