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車中にてSMAP想う昼下がり

くだらない話
枯れ木や枯れ草の隙間から漏れる陽光がアスファルトに不思議な影を作っていて、その上を車で走っている。ラジオから流れる倖田來未、の喋り。甲高い関西弁の早口は滑舌よく、けっして噛むことはない。それはもうとめどなく流れる滝のようなベシャリで、その音声一帯に霧散し、まとわりついたネオン街の人並みに漂うケバケバしい女子力のようなものが車中にたちこめる。同時に大阪のおばちゃん特有のたくましき安心感が淡くわたしを包む。まるで異世界にひとり迷い込んだような所在なさを感じながらハンドルを握っているのだが、存外悪い気分というわけでもない。むしろ心地よくすらある。なんだかダッシュボードの上に白いモフモフしたマットが敷かれているような錯覚を覚えながら、じぶんがギャルにでもなったような、ヤリ捨てられても「まけへんで」と空に向かって叫びたくなるような、そんな妄想に耽っていたら、気持ちアクセルを強く踏み込んでいた。

倖田來未のようなちゃきちゃきの関西娘(おばはん)の裏に潜められた健気でか弱い一面に思いを馳せつつも、もう少し声が酒灼けしたら宮川花子みたいだなあ、などと頭に浮かんだ顔はハリセンボン近藤春菜であった。似ている。あきらかに似ているのだが、誰もネタにしないのはなせだろう。その裏を深読みしていると、信号は青に変わっていた。

スマップが解散するとかしないとかで、高度な情報戦が繰り広げられている。さすがはスマップである。思えば、愛ラブSMAP!時代から、ここ一番で必ずキムタクにボールが回ってきてスリーポイントを打っていたころから、森くんがまだ活躍しているころから、みんなのうたでベストフレンドがかかっていたころからの付き合いなのである。木村拓哉のWhat's UP SMAPも聴いていたことも忘れてはいけない。ついでに言うと、藤井フミヤのFMスナイパーも聴いていた。FMスナイパーて。若者のすべてでキムタクが吸っていたハイライトに憧れた。いくら興味がないふりをしても、自分に嘘はつけない。

たまーに、ドラマで実在の人物を役者が演じるものがあるが、スマップもそれに値するほどの功績は残しているだろう。この間見た、大山のぶ代のドラマは、大山のぶ代鈴木砂羽が演じていて、見入ってしまった。スマップも、いつかはそうなるときがくる。しかし、いったい誰が演じるのだろう。演じることなどできるものか。もちろんジャニーズは絶対に勘弁である。まあキムタクはホリで確定しているとして、他は思い当たる適当な人物が見つからない。なにしろスマップは、古畑任三郎でスマップ自身を演じたことがあるのだから。替えなどは効かないのである。キムタク以外は。キムタクほどとなれば、むしろ替えは見繕いやすい。そのときのスターをあてがえばいいのだ。しかし、その脇を固める四人、ないしは五人をどう配役してくれようか。キムタクは藤原竜也でもいいかもしれん。なかいくんは、あのワンダのコーヒーの、やんちゃっぽくてやたら暑苦しい……誰だっけ。稲垣は、草薙は、香取は……。青い稲妻のごときクラクションが、ぼくを責める。瞬間、私の中のSMAPは四散、いや五散した。

初期のSMAPには、国分太一がいたらしく、国分太一といえば、「国分太一のおさんぽジャパン」というテレビ番組がある。この語呂が妙に気に入っていて、「さ」の部分をくるっと回して、車中でひとりほくそ笑む。

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