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CMの過剰な演出はどこまで許されるのか

興味深い取り組みです。

「ごくごく」「ぐびぐび」やめます アルコールCM


「ぐびぐび」とか「ごくごく」とかの効果音や喉元のアップがアルコール依存症患者にとって苦痛であるとの訴えに配慮した対策とのことです。お酒に酔って錯乱状態に陥って失態を犯してしまう、攻撃性が増して喧嘩に発展する、など見に覚えのある方も多いのではないでしょうか。お酒による犯罪や悲しい事件というのは昔から溢れており、最近では飲み会で暴飲の挙句に急性アルコール中毒に陥って亡くなった東大生や「大きなことがしたかった」などといってコンビニに押し入って酒を強盗するなどといった事件が記憶に新しいところです。

アルコールはヘロインやアヘンなどといった肉体的、精神的に中毒性の高い薬物(ハードドラッグ)の一つとして世界的に認識されています。アルコール依存症患者はおよそ80万人、予備軍は1000万人ほどいると言われています。これは厚生労働省による2003年度のデータですが、国として大きな動きがあったわけではないので数字が増減があったにせよ、劇的に変化しているとは考えにくいです。

もちろん適量をたしなむ程度であれば良いのですが、そこはハードドラッグ。
言うはやすし行うはきよし、といったところでしょうか。
いきなり下らないダジャレをぶっこんでいくスタイル。

薬物なので、当然製造も販売も法律で定められています。作るとなると個人では無理なレベルです。

そんなお酒ですが
酒類の広告には法規制がなく、業界が自主基準をつくっている。アルコール健康障害対策基本法をもとに設置された専門家による作業部会の意見を踏まえ、協議会が議論してきた。

広告には法規制が無かったんですね。一応薬物なわけですし、お酒もお酒にまつわるトラブルもずーっと昔からあるわけですから、広告に関してもなにかしら規制があるのかと思っていました。アルコール健康障害対策基本法というのも初めて知りました。

アルコール健康障害対策|政策統括官(共生社会政策担当) - 内閣府

お酒は私たちの生活に豊かさと潤いを与えるものである一方、不適切な飲酒はアルコール健康障害の原因となります。更に、アルコール健康障害は、本人の健康の問題であるのみならず、飲酒運転、暴力、虐待、自殺などの様々な問題にも密接に関連します。


サイトの頭にある文章ですが、かなりエグい内容ですね。

この文章の暗い内容とお酒のCMの明るいイメージがかけ離れすぎてとまどいを隠せません。イメージ戦略がいかに効果を持っているのかがよく分かります。

この対策によって、良い変化が現れれば良いですね。

CMを打つ側が表現をどう変えるのかというところに注目です。CMの内容だけでなく、媒体の拡大、ステルス的な広告の波状展開が予想されます。現在、インターネット上でも広告について様々な問題が勃発しては議論されています。今後もより巧妙で効果的な広告が模索された結果、規制だけが強まってゆくことも予想されます。ま、宿命なんでしょうね。


余談

十年ほど前でしょうか、パチンコ台のテレビCMが解禁されたころ、とにかく大量のCMが放出されたことを思い出しました。これがパチンコ業界にかなりの効果をもたらしたことは容易に想像できます。しかし現在、そのようなCMは見られなくなり、代わりにパチンコ屋のCMが流れるようになりました。これもパチンコ業界の自主規制によるもののようです。

日工組と日電協がテレビCMなどの自主規制継続へ:パチンコ業界誌 PLAY GRAPH WEB

日工組(市原高明理事長)は12月20日に役員会を開催。現在実施中の「テレビ/ラジオCM、新聞広告は企業イメージに限る」という自主規制を、2013年度(2013年4月1日~2014年3月31日)も継続することを決定した。日電協も足並みをそろえる模様だ。

パチンコ台のCMが見られなくなったのと同じ時期に、テレビ番組で「キュイン!」という効果音を耳にすることがめちゃくちゃ増えました。これはスロット機の大当たりの時の効果音と全く同じものです。この音を聞いてパチンコ、スロットのイメージが浮かんだという人は多いことでしょう。「ごくごく」や「ぐびぐび」などの効果音にアルコールを欲する衝動を煽る効果があったのなら、当然こちらにも相当の効果があるということになります。広告の面白さと恐ろしさ、人間の弱さなどさまざまな思いが去来します。